「地盤」についての疑問・質問 (初めて家を建てる人のために )
自分の家を丈夫で長持ちさせたい、誰もがそう願うのは当然です。ところが、どんな頑丈な家でも土台がぐらついて いるようですとそうもいきません。いかに災害に強い家を建てたところで、地盤が弱いと、いろんなところに歪みが出てきますし、地震の時には大きな被害を被る源となります。地盤についての疑問、質問にお答えします。
Q1
Q2
Q3
Q4

Q5

素人でも軟弱地盤を見分ける簡単な方法はないでしょうか。

Q6
Q7

 

 

軟弱地盤

Q1
地盤が良いとか悪いとか言いますが、どう違うのですか。
Answer

 地盤とは建物がのった土地の事を言い、建物をそこに建てる事を前提とした言葉です。ですから、農地や畑などは普通地盤とは言いません。

 家を建てる場合は、その土地が家の重さに十分に耐えられないといけません。すぐに家が傾いたり沈んだりすると大変です。つまり、建物の重さに耐えられるだけの強さ(地耐力)が問題になってきます。この地耐力が不足しているところを軟弱地盤とみなしています。しかし、たとえ湿地などでも、その上に何も建てたりのせたりしない状態ですと、軟弱地盤とは呼びません。

  では、軟弱地盤はどうしてできるかという問題です。一般に物質は水を含むと柔らかくなります。固い土も水を混ぜればどろどろになります。つまり、土の中に水分が含まれれば地盤は軟化しますし、水分を含まず土の素粒子が互いに緊密に接触していれば岩石のようになります。それに土は空気も含んでいます。言うなれば、軟弱な地盤とは、水分と空気を多く含んだ土という事です。

  また、軟弱地盤はどういうところにあるかと言う問題です。軟弱地盤は、地表から数メートルおよび数十メートル下までのところで水分の多い地層が堆積したものです。

  形的には低地や、窪地、谷地に多く見られます。つまり、地下水が地表に近いところまできていて、少し土を掘っただけで水が滲み出てきたり、水が集まりやすいところが軟弱地盤の特徴です。

  近年、都市人口の増加により、いたるところで宅地造成が進んでいます。市街化されて、田園風景が一変するなんて事も珍しくありません。これまで見向きもされなかった急斜面や沼地まで開発され、住宅地に変貌しています。このような急速な造成地に地盤の不安定な所があったりします。建築基準法に基づく建設省告示には「沼沢、泥海などを埋め立てた地盤の深さが概ね 3 メートル以上であり、かつ、埋め立てられてから概ね 30 年経過していないもの」を「地盤が著しく軟弱な区域」としています。

  住宅にとって良好な地盤とは、これら軟弱地盤とは反対に、締まった地層が建物の基礎の下にあって、地震に時にも揺れの少ない安定した地盤を言います。

 

地盤沈下

Q3

地震でもないのに家が傾いたり、沈んだりする事がありますが、地盤の沈下はどうして起こるのですか。

Answer

地盤の強さ(地耐力)が建物の荷重と同等もしくはそれより大きければ、地盤は沈下しません。地耐力が建物の荷重より小さいと、地盤は沈下します。地盤の沈下にはいろいろな原因がありますが、主に次の 5 つが挙げられます。

•  建物の荷重により土中の水分が排出されて起こる沈下。

•  擁壁の崩壊によって土砂が流れ出て生じる沈下。

•  土中に埋まっているものが腐敗して、その空洞化によって起こる沈下。

•  土中に埋まっている廃材に土が吸い込まれて起こる沈下。

•  地下水をポンプなどで大量に汲み上げたために起こる広域地盤沈下。

この中で、最も起こりやすいのが@の建物の荷重により土中の水分が排出されて起こる沈下で、軟弱な地盤で起こります。水分を多く含んだ地盤に家を建てると、家の重みで土の中の水分が逃げたり空気が漏れたりします。その分だけ土の体積が収縮しますが、

それを圧密と言い、この圧密によって建物が沈むことを圧密沈下と言います。

 圧密現象は徐々に起きますが、建物の建っている地盤全体に一定の速度で起こる場合はまだ問題は少ないと言えます。問題は圧密の速度が異なる場合で、このような場合は地盤の沈下速度にも違いが起きて、家が傾くという現象が起こります。つまり、沈下速度が場所によって異なることにより土地の沈下が不均等に起こり、建物が傾く訳です。この現象を不同沈下現象と言います。この場合、建物の一部の亀裂、歪み、破損という現象が現れてきます。

 この不同沈下が起こりやすい場所は、軟弱盤に盛土を行っているところのほかに、軟弱地盤と非軟弱地盤が隣接しているところ、盛土と切土が隣接しているところなどです。

 一般に不同沈下とは、住宅一軒一軒など狭い範囲の現象を言います。これに対して、広域に渡る地盤沈下は一種の公害、社会問題であって個々の住宅の問題ではないと言えましょう。広域地盤沈下は急速に開発が進んだ地域で多く見られ、生活用水や工業用、農業用用水を地下から汲み上げた影響によるものが多いと言えます。

 

不同沈下

Q3
壁にヒビが入ったり家が傾いたりする不同沈下の起きやすいところは、実際にどんなところでしょうか。
Answer

地盤の沈下速度が場所によって異なり、不均等に土地が沈下するのを不同沈下と言います。低地の水気の多い軟弱地盤のほかに、山地や凹凸の激しいところの造成地は注意が必要です。次のようなところに家を建てる場合は十分に調査をしましょう。

•  地層の粘度層厚の変化による沈下

軟弱層の厚さには差があることがあります。その上に建物を建てると、軟弱層の厚い部分ほど沈下速度が速く起き、その差によって不同沈下になる事があります。

•  切土と盛土にまたがる場合の沈下

傾斜のある土地で、高部の一部を削減し、その土砂を低部へ盛りたてて造成する事はよく行われます。建物が切土と盛土の境界にまたがって建てられた場合は、要注意でしょう。盛土の部分の固めが十分に行われていなかったり、造成後の日数が余り経っていなかったりすると、沈下が起こりやすくなります。また、盛土に木の根や瓦礫が多く混入している場合も、十分な締め固めができにくいことがあります。

•  基礎栗石などの締め固め不足による沈下

建物を建てる前には基礎工事を行います。そのとき、基礎(布基礎)の底に割栗石、目つぶし砂利と呼ばれる石を敷きます。その締め固めの処置をきちんとしておかないと、石が動いたりして土地が沈下する事があります。

•  建物の重心の偏りによる沈下

建物の重心はその中心にあるのが最も安定しているということは言うまでもありません。例えば家の片側が2階建てになっているとか、壁量が家のどちらかの側面に極端に少ないとか、重心が偏っている場合は、地盤に伝わる荷重が均等でないため不同沈下が起こりやすくなります。

•  地盤の変質による沈下

建物のわきを別の工事などで大きく堀削したりすると、建物の下の土は横へ流れ出ようとします。また、水気を多く含んだ場所をポンプなどで汲水しながら掘削すると、沈下が生じたりします。

このように原因は多様ですので、地盤の調査及び基礎工事が大切なのです。

 

 

沈下予測

Q4
最近、ドアが閉まりにくくなりました。地盤と関係があるのでしょうか。
Answer

地盤の不均等な沈下である不同沈下は、ある日突然やってくるものではありません。徐々に進行していて、建物や外構に段階的に不具合が生じ、ついには家が傾く結果になります。ですから、ちょっとしたヒビや歪みはその予兆と思って、すぐに検査をし手当てをする必要があります。

不同沈下が最もよく起こるところは、水分を多く含んだ軟弱地盤で、建物の荷重に押されて土中の水分や空気が抜けて沈下が起こります。軟弱層の厚さによってその持続期間はさまざまです。

 まず初期段階では、モルタルの外壁やコンクリートの犬走りに亀裂が見られるようになります。この段階では、まだ地盤による影響とは気づきにくいものです。また、家の傾きは感じられません。

 次の段階では、布基礎や土間コンクリートに亀裂が生じ、床が傾き始めます。さらに進行すると、壁と柱の間や窓などの接合部に隙間が生じるようになり、建具の開閉などが困難になります。ブロック塀などの外構部にも被害が出てきます。

 さらに進行すると、床が傾斜し、建物の傾きが実感できるようになります。建物の部分的なずれにより屋根の瓦がずれたり、その影響で下葺きも破損し、雨漏りが発生する事もあります。排水などにも影響が出てきます。時によっては、床の傾斜の不安定感やドアの開閉のきしむ音などで、体調にも変調をきたす事になります。

 最終的には床や柱の傾斜も著しく、倒壊の危険にさらされる事になります。

 このように、水平な地盤では建物の荷重を均等に受け止めていたのが、不同沈下による建物の傾斜で、柱や壁といった建物を支えていた構造物がバランスを崩して、家全体が耐えられなくなるのです。

 

 

見分け方

Q5
素人でも軟弱地盤を見分ける簡単な方法はないでしょうか。
Answer

地盤の重要性については誰でも承知していると思います。出来るなら、軟弱な地盤は避けたいものです。かと言って、地表を見つめてもわかるものではありません。だから、地盤については最初から諦めている人も多いと思います。しかし、念願の家を建てても後で家が傾いてはどうしようもありません。修理しようにも、部材なら交換可能ですが、土台の基礎からでは簡単にいきません。ですから、家を建てる前にそこの地盤を知ることは大切なのです。

 見てもわからないと書きましたが、手掛かりがまったくない訳ではありません。軟弱地盤を見分ける簡単な方法を、下記に幾つか挙げてみます。

@  地勢をよく見る   何気ない風景でも何がしかのシグナルを発しているものです。

まず、その場所に立って辺りを見渡します。駅や主要道路から目的地まで歩きましょう。そのときの道の勾配はどうだったでしょうか。坂道には特に注意をはらいましょう。その土地が高いか低いか、周りの微妙な起伏を探りましょう。低地は要注意です。また、川や小さな溝など、水路に出くわさなかったでしょうか。水は低きに流れるといいます。

周りより低い土地は堆積した年代が比較的新しく、水分含有量の大きい地盤である可能性が高いといえます。

 また、水が集まりやすい場所は、当然土が水分を多く含むことになります。低地には雨水や地下水が四方から集まってくるので、どうしても軟弱な地盤になりやすいと言えます。

A  地名に注目   地名で、谷、窪、沼、沢、川、淵、瀬、田など、土地の低さや水に関係あるところは要注意。このような地名の場所は、現在はそうでなくとももともと低地や湿地であったところが多いのです。

B  資料を利用   資料、図版を判読する事で地盤を見極める事も大切です。地形を調べるには建設省国土理院で編集・発行されている「土地条件図」を見るとよいでしょう。地方自治体によっては、「地盤図」を公開しているところや、地盤災害をまとめた地図を作成したり、地震時の液状化の予測図を作成しているところがあります。

 

軟弱地盤

Q6
土地を買ってしまい、その後軟弱地盤とわかりました。どのような対策を講じればいいでしょうか。
Answer

地盤の軟弱度の程度によって対策は変わってくるでしょう。

「やや軟弱な地盤」の場合   地面にかかる圧力をなるべく軽くする事です。この場合、布基礎などのベース幅を拡張し、地面に接する面積を広げます。そうすることにより、基礎から地盤に伝わる荷重を分散し、実質的に軽くするのです。ただし、基礎のベース幅を拡大しても圧力の低減には限界があり、逆に拡幅し過ぎると、基礎の重さで荷重が増える事になりかねません。

「軟弱な地盤」の場合   地盤の沈下が起きた場合を想定して、その沈下を均等化するために基礎の剛性を強めます。基礎の剛性を強くするには、部材を厚くしたり、基礎の中を通っている鉄筋の太さや本数を増やすなどを行います。

 剛性を増強した基礎の典型は、建物の下に一面鉄筋コンクリートを敷いた、いわゆるベタ基礎と呼ばれるものです。水平方向に網の目状に鉄筋が入るので大きな剛性が得られます。ただし、このベタ基礎の場合、布基礎よりもさらに大きな自重がかかるため、荷重が軽くなるとは一概に言えません。

また、ベタ基礎は布基礎より深く建物の荷重を伝えるので、軟弱層を刺激する事になる危険性も生じてきます。ですから、基礎の下に均一でない軟弱層がある場合や、基礎が盛土と切土にまたがっている場合などは注意が必要です。軟弱な地盤とわかっている場合は、事前に細かく調査をすることです。

「超軟弱地盤」の場合   地盤そのものを改良して、沈下を防ぐほうが多く取られます。戸建て住宅で多く活用されているのは、軟弱な地盤に特種セメントを混ぜ合わせて固めてしまう混合撹拌工法です。回転軸で土を揉み込むと同時に、固化材を土中に圧送して円筒形の柱のような抗体を何本も作る方法です。

 超軟弱地盤対策として多く活用されているのが杭基礎です。これは、軟弱な地盤の下に締まった支持層という地盤が確認されたときに、建物と支持層の間に杭を立て、建物の荷重が直接軟弱地盤に伝わらないようにする法です。いずれにせよ、専門家による調査をきちんとやり、対策を施すことが大切です。

 

 

液状化現象

Q7
最近、液状化現象という言葉をよく耳にしますが、どのような現象でしょうか。
Answer

平成7年に起きた阪神・淡路大震災後、この言葉は新聞をはじめマスコミでよく取り上げられ、専門家以外でも知られるようになりました。

液状化しやすい地盤とは、 地下水位以下にあるゆるく堆積した砂質地盤で、同一地盤でも地下水位が浅いほど液状化が発生しやすいと言われています。つまり液状化は、地下水位、ゆるい砂質地盤、振動が組み合わさって起こると言えます。

 液状化は、土中の地下水の水圧が地震によって急変する事が主な要因です。地下に、水に満たされたゆるめの砂粒の層が横たわっているとします。そこに、大きな地震がきて振動が起こると砂は密になろうとします。密になると体積が縮むのですが、そのためには空隙がなくならなければいけません。それで、砂粒と砂粒の間にあった水は逃げ場を失って局所的に圧縮され、砂粒の一つ一つを押し広げ、砂同士のつながりをゆるめる結果となるのです。このような砂を含んだ土が押し出されて、液状のように動いてしまうのが液状化現象です。

 地震の場合、圧縮された砂粒の間の水は地上へと逃げ場を求めます。この水圧の上昇によって、地下の水と砂が一緒に噴出す噴水・噴砂現象も液状化の特徴です。

液状化対策としては、 液状化そのものを防止する法と、液状化後をにらんで建物の被害を軽減する法があります。前者の場合は、土を固めて抵抗力を増大させるか、液状化層に加わる条件を変えるなどの地盤改良があります。後者の場合は、布基礎、ベタ基礎、杭基礎などの基礎構造物で対処する法があります。Q 6 の軟弱地盤対策も併せて参考にして、専門家とよく相談する事です。

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